定刻19時、開演のチャイムが響きわたった。一瞬、背筋がすっと伸びる。舞台挨拶から戻った相良会長が「(観客が)ずいぶん大勢入ってますね」と、頬をほころばせた。傍らにはダンディーな荘村さん、真っ白いドレスの山形さんがスタンバイしている。扉の隙間から光が差し込み、大きな拍手が沸き起こった。主役の登場だ。舞台裏にいても、拍手の厚みで観客の多さが感じとれる。1階はほぼ満席で、用意していた800部のプログラムも、残りわずかと、後になって知った。

東京には著名なホールが数多く、毎夜々々世界中の音楽家の演奏会が開かれている。それに肩を並べ、いかにして目黒のホールに人を呼ぶか、少ない予算内でどうPRするか、皆で知恵をしぼった。そして今回、"収益より集客"をめざして新たな分野を開拓し、想定以上の来場につなげることができた。ご協力いただいた皆様に「有難うございました」と心から感謝を申し上げたい。

反省点も多々ある。開場前に170名もの人々の列ができたが、番号札の準備は100枚。自由席とはいえ、こんなに多くの方々が早くから並ぶとは予測していなかった。皆様にご迷惑をおかけしたこと、その場で適切に対処できなかったことなど、今後の検討事項だ。

目黒ユネスココンサートは来年45回目を迎える。先達が永い年月をかけて育て上げ、ようやく今日のような形になった。まさに目黒ユ協の財産といえる。このコンサートを、持続可能なものとして次代に引き継いでいきたい、と心から願ってやまない。

コンサート実行委員長 林 多香子


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