主催:目黒区教育委員会 主管:NPO法人目黒ユネスコ協会
講師:小野寺徳茂氏(気仙沼市立鹿折小学校前校長)
2014年1月30日(木)14:00~16:00 緑が丘文化会館 参加 46名
大震災当日の想像を超える極限の状況を小野寺先生は静かに語り始めた。あの日、鹿折小学校の先生と児童達は次々と避難場所を変えた。はじめは校庭から高台へ、水が押し寄せるのを見るやさらに高台に移動し、児童を保護者の元へ引き渡した。その後は保護者に引き渡しが出来なかった児童、職員とともに雪降る中お寺に向かい、二晩を過ごしたという。児童達はお寺で誰一人不平をもらすことなく、おにぎりを半分ずつ分け合い、3キロ先の燃え盛る海を見ていたそうだ。3月19日の卒業式には、この出来事を忘れないことを願い、敢えて泥のついた卒業証書を心を込めて渡したと話された。この時スクリーンに卒業式を迎えた6年生が写しだされた。死に直面した直後の命輝くその笑顔に私は胸が熱くなった。
そしてもう一つの「あの日のこと」
知り合いの中学生は一旦避難した後、隣家のお婆さんを助けに戻り犠牲になったそうだ。極限の場面では自分の命を守るため誰もが逃げる。しかし、自らを顧みず、他者を想い行動したことで失われた命もあったのだ。「人としてどうすればよかったですか?」と先生は私達に問いかける。そして逃げた者も、救えなかった命に対し悔やみ続けるのだと言われた。助けられなかった命を思い出し、切ない思いを背負われていた。被災地に生きる方々の苦しさに胸が痛んだ。
先生は子供達が目黒のさんま祭りでホームステイをしたことに謝意を述べられ、最後に「私達のことを忘れないでほしい」と言われた。
「あの日」から、少しでも力になりたいという一心で始まった私達の支援であるが、青少年たちと心一つにさらにできることを探し続けていきたい。復興を迎えるその日まで、私達は「忘れない」を合言葉に喜ばれる真の支援活動を継続したい。なお、お忙しい公務の時間を縫って青木区長、小笠原教育長、金元生涯学習課長も駆けつけられた。
広報 木村 万里
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