昨年9月、内閣府主催、国際青年育成交流事業日本青年団の一員としてドミニカ共和国を訪れた。中南米に位置し、野球選手の育成やカリブ海リゾートとして知られるその地で、私たち派遣団は政府関係機関の訪問を始め、日本とドミニカ共和国を結ぶ教育・医療・農業機関の視察や現地学生とのディスカッション、ホームステイなど、数多くの貴重な経験をすることができた。私がドミニカ共和国で得た経験の中で最も心に残ったのは訪問先での人との出会いだ。大使館、JICA職員の方や交流した現地学生、ホストファミリーそして派遣団員。普段触れ合うことのできない様々な立場の人との対話を通し、お互いの価値観の共通点や相違点を知ることができた。特に印象に残ったプログラムは、相手と時間をかけて話すことのできた、ホームステイとサントドミンゴ自治大学学生とのディスカッションだ。
ホームステイ先の家族は、お父さんがアフガニスタン出身であったり、おばあさんが熱心な仏教徒で90年代に何度も日本を訪れていたり、とてもユニークなバックグラウンドを持つ家族だった。行動を共にしたホストシスターとは、開発援助や人権問題など興味分野が似ており、お互いの国だけでなく世界の格差や難民問題についてなど、語り合うことができた。私の興味分野を話すと、サントドミンゴの貧困地域へと出向きハイチ移民の人の話を聞く機会を得、他ではできないような経験をすることができた。
現地学生とのディスカッションでは、アイスブレイクの際に「自分の家族が海外に住んでいる人」という質問に対して私たち日本人青年団の中からは一人だったが、ドミニカ人青年の過半数以上が「海外に住む家族がいる」と回答し、移民国家ならではのグローバリズムを感じた。私の周りでは未だに「外国へ行くこと=すごいこと」という概念が根付いているように感じるが、そういった概念をなくすよう働きかけていきたいと思うようになった。
本事業を通して、普段の自身の生活と全く異なった環境で様々な立場の人と交流をしながら18日間を過ごし、社会への問題意識や物の見方が大きく変わった。相互の共通点を見つけるのではなく、違いを受け入れそれぞれの得意分野を活かしていくことが相互協力であり、相互協力の輪が広がればより良い社会を作ることができるのではないかと思う。別れ際にホストシスターから「いつか絶対に地球のどこかで会おう」という言葉を聞き、この事業に参加し素晴らしい人たちと出会うことができて本当に良かったと感じた。この経験を今後の自身の糧にしてきたいと考えている。
青年会員 柿崎 安里
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