主催:目黒区教育委員会 主管:NPO法人目黒ユネスコ協会
2015年2月5日(木)14:00~ 緑が丘文化会館 参加:38名
講師:渡部一二氏(多摩美術大学名誉教授/農学博士・学び舎江戸東京ユネスコクラブ/会長)
都内のあちらこちらで、みぞれまじりの粉雪が舞い落ちる寒い日であった。研修会場は、悪条件の天候にも拘わらず、席はほぼ埋め尽くされた。かくも大勢の参加者があったのは、目黒ユネスコ文化講座に対する、皆さんの期待の表れであろう。
玉川上水系水路は、多摩川の水を源流として、古くは江戸、そして東京の街を潤して来た。大きくは玉川上水より取水して三田まで至る三田用水と、品川区まで至る品川用水の両用水より、分水領として何本もの分水路が網のように張り巡らされている。取水地から東京湾に流れ込むまで、ポンプなど一切使わず、自然流下のみによる総延長420キロにおよぶ水系は、その通水システムのスケールの偉大さ、たくみさを窺い知ることが出来、おおいに感銘させられる。 水は、人間にとって欠かすことが出来ないのは言うまでもないことであるが、玉川用水路は、飲料水としての利用に始まり、農業用水、工業用水などいろいろな方面で、非常に重要な役割を果たして来た。今日までの私達の生活、文化を支え発展させて来たということで、大変大きな価値を有していると言えるのではないだろうか。 歴史の移り変わりの中で、上水路の形態や地形なども大きく変わり、その経緯や意味、あるいは関連する資料も分散してしまっている。またそれら水路の多くは通水されないままの痛ましい姿で残されているのは、大変残念なことである。 この後も、水路の調査、研究を続ける中で、願わくは武蔵野の水路再生を図り、延いては世界遺産の認定に向けて、更なる情熱をもって邁進して行きたい。 玉川上水に関連して、皆さんが知っていることや、あるいは情報があれば、何なりと遠慮せずお寄せ頂きたいと、講演を結んだ。
広報 沓澤 逸男
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