主催:目黒区教育委員会 主管:NPO法人目黒ユネスコ協会
2016年2月4日(木)14:00~16:00 緑が丘文化会館 参加 38名
講師:白井原太氏 建築家(白井晟一建築研究所 アトリエ5)
会の文化講座は多岐にわたり、今回は建築家の方だった。初めての経験で楽しみにして出向いた。
まず、タイトルにもなっている建築における窓のことだが、西洋と日本の違いを分かり易く説明された。西洋の建物は石を積んで作るため、力の分散を考慮し、自立する形のアーチ型が多くなっている。それに比べ、日本の建物は柱と梁に囲まれた開口部が窓になる。縁側をはさみ、開け閉めをして、外部の自然と向き合う形をとる。
窓は、1採光 2換気 3外部を見渡せる 4出入り口 等の機能がある。配置として、南側に大きく取り、北側はずらした位置にその3分の1あるいは2分の1という大きさにする。そこに風の流れが生まれることになる。
「西洋絵画の窓」として、フェルメールを出された。特に絵画に詳しくない私も見たことのある絵だが、人物が窓から採光し何か作業している構図だ。窓は、中の人物から見て右になっているが、西洋において右は「正義、上位、聖なるもの」という意味があるそうである。
後半は、祖父にあたる白井晟一氏の業績に触れられた。松濤美術館、飯倉NOAビル等々の他、中央公論の装丁、書等も手がけられた。また、秋田県湯沢市との縁も深く、多くの建物を造られた。
原太氏もその関係で、晟一氏作の上野毛在「試作小住宅」を湯沢市に移築することになり、その経緯を詳細に語られた。部材に分け、番付けし、一台の大型トラックで運ばれた。私も知っている童話、家自体の引っ越しの話「ちいさいおうち」は奇しくも原太氏が幼いときからの愛読書だったそうだ。
ホテルオークラ、神奈川県立美術館の建物が消えていくことにも述べられ、モダニズム建築保存への試金石となる保存活動が起こっていると付け加えられた。それは、まさに「古いものを大事にしながら新しいものをつくっていく」という氏の建築家精神である。
スライドによる、窓に映る灯りの美しい建物に魅せられた講座だった。
広報 清水 敦子
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