319d.JPG2016731()14:00~16:00 青少年プラザ

講師:小口 聡美さん さいたま市立中学教師  

2014/7~2016/3・ネパール派遣

私は青年海外協力隊として、首都カトマンズの隣に位置するキルティプール市役所一般廃棄物管理課に配属されました。ネパールでの廃棄物管理は埋め立てが一般的です。この市でも、廃棄物は収集車が回収し、30km先の埋め立て処分場に運んでいます。しかし市の予算不足から、ゴミ運搬が難しく、分量の削減が課題となっています。そのため、私は日本での経験を活かし、地元の学校を中心に日本の廃棄物管理の経験を伝えたり、清掃習慣や美化委員会の活動を学校に取り入れたりする活動を始めました。ネパールでは古くから清掃は清掃人カーストの仕事として捉えられており、学校や地域の清掃は清掃業者によって行われていたため、人々の意識を変えるのはとても困難です。プラスチックが生活に入ってきたのは最近ということもあり、ゴミが自然に分解されていた時代の感覚のままで、ゴミのポイ捨てにも抵抗の無い人々がほとんどです。私はまず、生徒向けに授業を行い、教員と協力して週1回の清掃時間の導入や、エコクラブを立ち上げて校内の美化チェックや分別管理を行い、優秀クラスの表彰を行いました。低学年の子供たちは特に習慣を身につけるのが早く、声を掛け合ってポイ捨てを防いだり、分別の浸透を促したりしており、早期の習慣形成の重要性を感じました。 

廃棄物管理以外に、子ども会活動にも取り組みました。子ども会活動はネパール政府が推し進めている政319e.JPG策の一つであり、キルティプールでは私と市役所職員であるカウンターパート(仕事上のパートナー)で始めました。各子ども会にとって、活動は月に1度の活動ではありましたが、子どもたちが地元文化について学び、年長の子どもが年少の子どもと協力しあい、イベントを成功させていくのを手助けで きたのは、とても嬉しかったです。現在ネパールでも、スマホのゲームに熱中して部屋から出てこない子どもを年配の人々は心配しており、そんな住民の方からの理解と応援をもらえたのも、私にとって大きなやりがいでした。 

ネパールは1日に13時間停電する日があり、水道も週に1度しか来ません。そんな中で人々は工夫しつつ、不便ながらも楽しく生活しています。2015年4月25日ネパールでは大地震が起きました。電気も水も物流も止まり、どうなるか分からない状況においても人々は「何とかなるよ、大丈夫」と私にお茶や食事をふるまってくれました。普段であればイライラさせられることもある根拠のない楽観さですが、そのおかげで私は地震後も不安を募らせることがなくいられたのだと思います。普段からいつも街を歩くと人々は「どこに行くの?」「座っておしゃべりしようよ。」「お茶を飲みにおいで。」と声をかけ、気にかけてくれます。日本に帰ってみて、日本の人々はよく働く半面、余裕のない生活をしているのではないかと心配になります。 ネパールは多言語、他民族の文化的多様性に富んだ国です。まだまだ経済的に貧しかったり、カースト制度が残っていたり、課題も多くありますが、この度私の大好きなネパールについて皆さまと共有し話すことができ、嬉しく思います。お伝えできたこと以外にもネパールは様々な魅力に溢れています。今後もネパールについて関心を抱いていただけると幸いです。

付記:講師の小口聡美さん(元青年会員)は、夏のつどい、被災地支援、文化講座通訳等でご活躍。今回は青年たちの勉強会で、貴重な体験を、お話ししてくださいました。


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