主催:目黒区教育委員会 主管:目黒ユネスコ協会 20161126日(土)1400~1530

講師:安井清子氏(ラオス山の子ども文庫基金代表)

目黒美術館区民ギャラリー美術展会場

参加:41

322-4.jpg今回の美術展の一隅には、さまざまなモン族の刺繍が展示されていた。それは、まさに講師がラオスの山村に図書館を作ることになったきっかけの、タイの難民キャンプで出会った刺繍であった。

 ラオスは51民族から成り、モン族はそのひとつである。モン族の言葉を日本では誰も知らない現状で、講師は「ダッチ」という言葉一つで、交流を始めた。「ダッチ」は「なあに?」という意味で、絵を示すと、子供たちは物の名前を教えてくれた。そして、文字を持たないといわれているモン族にも「ダンネ」という民話があることを知った。これを講師は文字に起こし、伝承に力を注いでいる。山奥の村で、図書館を作る作業は、村人共々の手作りだった。木材は伐採した角材を1時間程の山道を担いで運び、土壁用の土も藁も水牛に踏ませて作り、砂利は岩を砕くところから始めた。そして、できあがった後も、新しい本の購入や専任スタッフの必要性等々の「継続する大切さ」についても言及された。

その後、スライドに村での生活が映し出された。大人は離れた畑で農作業を行い、留守中子供たちは、水道もガスもないので、水くみをし、薪を拾ってきて煮炊きして、普段の生活を支えている。日本では信じられないような生活力だ。

最後に、講師が図書館を作る意味を述べた。子供たちはモン族の伝統を守るだけでなく、新しい世界を受け取る力を身につけなくてはならない。本によって、世界を広げることが出来る。本は心の基礎を築く助けになるはずだ。この言葉が、小柄な講師のうちにある勇気と闘志、そして、子供たちの未来を信じる暖かくも強い意志を示している。全ての参加者の心に沁みていったと思う。また、言葉の端々に、モン族に対する敬意を感じ、「支援」の深い意味に気づかされた。

なお、この講座はNHKワールド(国際放送)で、(一部)放映される予定である。  

広報 清水 敦子


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