主管:NPO法人目黒ユネスコ協会
2017年2月25日(土)10:00~12:00
参加 31名
中小企業センター 第1集会室
(目黒区民センター内)
講師: 岡橋純子氏
聖心女子大学 国際交流学科 准教授
岡橋先生は、2002年からパリのユネスコ本部の中にある世界遺産センターに勤められ、約10年間に亘って世界遺産の保護と発展のためにご尽力された方である。今回はこの世界遺産センターの話を中心に説明された。世界遺産センターとは、世界遺産委員会の事務局として世界遺産条約がどれだけ守られているかを、中立の立場で管理する機関だという。文化遺産と自然遺産を両方一緒に視る難しい仕事だ。環境セクターと保全セクターが対立した時のコーディネーターとしての役割の他に、広報、宣伝、保全、信頼性の確認、世界遺産基金の管理者の仕事もある。連携先は、1.ICOMOS(国際記念物遺跡会議)、IUCN(自然保護ネットワーク)、ICCROM(文化財保存修復研究国際センター)2、各国政府機関 3.外部資金提供者(国、組織、個人)4.他の国際機関 5.大学・研究機関 6.各国ユネスコ協会、市民団体 7.コンサルタント(専門家)その他 など多岐にわたる。
岡橋先生は後半、コーディネーターとしての難しさを実例をあげて話された。南インド、ハンピの都市遺跡での住民の立ち退き問題、アフガニスタン、バーミヤン・
ヴァレーの人々の強制退去など、保全と人権の課題について考えさせられたそうである。世界遺産センターの膨大な仕事は尽きないが、最後に世界遺産条約の精神を是非伝えておきたいと言われた。以下の文が世界遺産条約の精神である。
*遺産を守ることは一つの「選択」。 合意、責任と役割、実行。 *世界遺産登録はゴールではない。始まりでもない。 「通過地点」である。 *世界遺産は「行く場所」として捉えられすぎていないだろうか?世界遺産及びその周辺には、様々な価値観文化を持つ人々の暮らしがあり、遺産との関わり方も様々である。 *世界遺産で「同じ課題」を抱えている場所や人々の間での連携を。 *文化には優劣がない。 多様性の尊重、多様性と普遍性の推進。 |
条約の精神の補足として先生は、「訪れる人々は、ある場所に立ち、景色と自分を切り取るのではなく、その景色がどうして生まれたのか、誰がそれを守ってきたのか。今ではどうなのか考えてみましょう」という重要なメッセージを下さった。
広報 山田 峰子
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