2018年3月24日(土)13:30~15:00 青少年プラザ6階第1レクリエーションホール(中目黒スクエア内) 
主催:目黒区教育委員会 主管:NPO法人目黒ユネスコ協会 参加:39名
講師:相良憲昭氏 (京都ノートルダム女子大学名誉教授・目黒ユネスコ協会会長)

相良先生は、文化とは何か?を考えるにあたって、金田一春彦氏の定義を引用された。
「人には個性がある。社会にも個性がある。社会の個性を文化という」という一文で、つまり文化には優劣がないのです、と補足説明された。
また、19世紀イギリスのタイラ‐の定義は、「文化とは、知識、信仰、芸術、道徳、法律、風習他、社会の一員としての人間によって獲得されたあらゆる能力や習慣の全体である」
つまり獲得するための努力が必要であるというのだ。 また人間以外の動物に文化があるか?というテーマにもふれた。 宮崎県の幸島にある京都大学研究所の猿たちは芋を海水で洗う、これを世界中の文化人類学者たちが研究しているというが、動物が文化を持つかどうかは意見が分かれるところである。
更に相良先生は、以下7項目の文化の特性を示した。
(1)あらゆる民族や社会集団は固有の文化を持っている。
(2)文化は民族や社会集団の構成員によって共有される。
(3)文化には芸術、言語、服装、食、住居、といった外形的様式だけでなく、価値観、宗教、道徳といった内面的な様式も含まれる。
(4)文化は学習によって継承される
(5)文化はアイデンティティの源である。
(6)異なる文化は比較できない。(人類は比較してきた)
(7)文化は時代の変遷によって変化する。

文化のアイデンティティに関しては、例えば、欧米が日本の捕鯨を野蛮だと非難するが、何故、捕鯨は野蛮で、キツネ狩り(英国)はよいのか?といった問いに対する答えがないことだ。 
文化の相対性とは、こうでなければならないというのはないのだが、文化の怖いところは価値観や道徳観も含むので、文化摩擦もおこすことだ。
相良先生が、国際機関であるユネスコや国連大学に長く勤務して感じたのは、文化摩擦(culture gap)が国家レベルになると文化侵略になり、ゼノフォビア(xenophobia)や更に外国人排斥運動にも繫がり得るということ。 文化も宗教もきれいごとではない。
世界の人々が他者の文化を理解し、尊重し合うことが出来るならば、自ずと平和を目指すことになるのではないかと結ばれた。

広報 山田 峰子


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