2018年11月24日(土)14:00~16:00 目黒区美術館区民ギャラリー 美術展会場
主催:目黒区教育委員会 主管:NPO法人目黒ユネスコ協会
講師:佐藤真紀氏 JIM―NET 事務局長 参加:38名
当協会の会員のみなさまにおいて、事務局に置かれていたJIM―NETのチョコを購入されてきた方も多いと思う。私もそのひとりだ。けれど、その入れ物の缶の絵がイラクの病気の子ども達が描いたものだというくらいの知識しかなかった。
今回、自分の無知を恥じるとともに、JIM―NETの活動や、チョコ募金の目的を知ることができ、本当に有意義な講座となった。
佐藤氏はイラク戦争(2003年)がきっかけで、JIM-NETを立ち上げ(代表は鎌田實氏)、いまだ戦下にあるイラクにおいて15年間活動されている。今回も10月末に帰国されたばかりである。
JIM-NETの仕事は、小児癌の子どもの支援である。イラク人、シリア難民の子ども達に癌が多いのは、劣化ウラン弾の使用によるものと考えられる。さかのぼれば、湾岸戦争まで起因するが、放射能の含まれている兵器を使い、そのしわ寄せが子ども達に及んでいる。にもかかわらず、国際社会の経済制裁により、抗がん剤が入ってこないという事態だ。空爆され、崩壊された病院にとどまっている医師と共に子どもたちを救うべく奔走している。その薬を買う資金として、チョコ募金がなされているのである。また、始まったばかりだが、収入源のないシリア難民の女性たちに福島の赤べこの鉄型を使い、べこ人形の商品化に向けての作業トレーニングをしている。今回の会場にも色鮮やかなたくさんのべこ人形もデイスプレイされていた。
イラクの子ども達の絵の説明もされた。「赤い長靴をはいた子どもの絵」は実はISに連れ去られ、長靴ひとつで逃げ帰ってきた男の子が自分のことを描いたものである。また、「結婚式の絵」は強制結婚させられたことを描いている。一見すると、親と三人の子どもの普通の「家族の絵」に見えるが、実際には子どもが連れ去られ、ブローカーに大金を払い、やっと戻ってきたという状況を描いている。 子ども達が哀れな存在だからというのではなく、同じに命のあるものとして、喜びのある人生を全うするよう力を尽くしている、という氏の言葉が印象的だった。扇情的でも、怒りでもなく静かに話されていたが、真摯なその姿に聴衆は共感し、講演後は、私ももちろん多くの方達がチョコを買い求めた。
2019年のチョコ募金タイトルは「戦場のたんぽぽ」だ。がれきの中から立ち上がろうとする人々を、たくましいたんぽぽでイメージしている。
広報委員会 清水 敦子
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