2019年2月8日(金)18:30~20:30 めぐろパーシモンホール小ホール 参加:72名 
主催:目黒区教育委員会  主管:NPO法人目黒ユネスコ協会
講師:平野 啓子 氏(語り部・かたりすと・ 元NHKキャスター・日本ユネスコ国内委員会広報大使 )


語りとは、本を手にして物語を忠実に音読することのみではない。全部暗記して体の中に物語を取り入れ、伝えたい気持ちを込めて、聞かせたい相手の心に直接届くように自らが表現者となる。メリハリの利いた抑揚、間の取り方、目線の動きで、聴衆の心に語りかける。そのために、アイコンタクトをし、言葉が届くまでの時間すなわち間を置くことが、重要であると繰り返された。またこのような語り部とは、文字が十分普及していなかった時代の『口頭伝承』が、原点とのことだ。
『蜘蛛の糸』の実演で、平野啓子氏の語りは、温かく優しい笑顔で始まるが、物語が佳境に入ると、変幻自在、主人公の心模様を、時に甘く、時に怒りに燃えて猛々しく描き出す。
私たちには、地獄の血の池から、蜘蛛の糸をはいのぼる恐ろしい形相の人々の姿がみえる。またプツリと糸が切れた後、奈落の底へ落ちていく人々の悲鳴が聞こえる。極楽のお釈迦様が、その結末、人間の利己心のあさましさをみて、悲しげに立ち去るところで、物語は終わる。私たち聴衆も、また日本文学の奥の深さ、無常観を確かに心に刻んだ。
平成26年度文化庁文化交流使としてドイツやトルコでの日本語の語り部としての活躍の様子が映像で紹介された。海外での語りは、氏が日本語、相手国の語り手が翻訳文で交互に語る「輪誦」(平野氏開発)のやり方と、字幕が入る方法があるそうだ。現地の人々にとって日本語は母音が多く含まれ発音されるので、その母音が耳に気持ちよく響き、まるで美しい音楽の演奏を聞いているようだと賞賛されたそうだ。
今回は門下生2名の実演も加わり、『走れメロス』『春はあけぼの』『絵姿女房』など、心豊かなひとときだった。

研修委員会 斉藤 真澄


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