6月30日からアゼルバイジャンで開かれた世界遺産委員会で日本から申請されていた大阪府堺市、羽曳野市、藤井寺市に広がる『百舌鳥・古市古墳群』(」)が世界文化遺産に登録予定だ。国内23番目の世界遺産となる。
古墳群は2つのエリアに分かれ、そこに現存する90以上の古墳中49基を構成資産としている。この中の堺市内『百舌鳥エリア』は市内、東西南北約4kmに広がり、4世紀後半から5世紀後半に100基以上造られたが、都市化によって失われ44基が残る。墳丘長さ486m世界最大、国内第1位の仁徳天皇陵古墳(大山(だいせん)古墳)、第3位の履中(りちゅう)天皇陵古墳(百舌鳥陵山(もずみささぎやま)古墳)が含まれる。
『古市エリア』は、大阪府の東南部、藤井寺、羽曳野2市内の東西・南北の各4kmに4世紀から6世紀前半に造られた130基以上の形と規模の古墳中45基が現存している。国内第2位の応神天皇陵(誉田御廟山古墳 (こんだごびょうやまこふん)長さ425m、盛土の高さや体積は全国一)初め、長さ200m以上の前方後円墳7基を含む。
これらの古墳群は古代国家が成立しつつあった4~6世紀、日本の政治や社会の状態が国内ばかりでなく海外に対しても大きな勢力であったことを、目に見える形で物語る。ユネスコの諮問機関イコモス(国際記念物遺跡会議)が、その歴史的価値と真正性により世界遺産にふさわしいとして登録を勧告し世界遺産委員会で登録予定だ。
構成資産49基中29基が、宮内庁の管理する陵基として一般人の立ち入りは原則禁止でかつ学術調査も制限されている。保護の方法手段などについて今後の課題となってくる。これからの世界遺産としてのあり方が注目されるところだ。(2019年7月3日現在)

理事 江藤甚一郎


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