講師:河﨑厚夫氏(全国食糧保管協会専務理事)
2024年9月1日(日)14:00~16:00 緑が丘文化会館 参加:31名
主催:目黒区教育委員会 主管:NPO法人目黒ユネスコ協会

迷走台風による不安定な天気の中、講演は行われた。
初めに爲季会長より、目黒ユネスコの目的の一つ「地域文化への貢献をめざす」ためのものであるという挨拶と、講師紹介があった。
「米」は、私たちにとって最も身近で重要な食品ではあるが、近年は多くの問題が浮上してきている。折しもこの8月になってからは、米不足や備蓄米の放出についての報道が私たちの不安を煽っている。講演は、まず、これらの報道の背景から始まった。
「我々消費者用の米は大手生産者・卸業者が確保している」「需要の増加は、ウクライナ戦争に伴う小麦製品価格の上昇により、米の消費拡大がおきていることが原因」「本当に足りないのはせんべいなどの加工用の米」ということ、米の価格や流通のしくみなどについて、河﨑氏はパワーポイントを使いながらデータに基づいた表や画像を分かりやすい言葉で説明してくださった。
日本の自給率が低い原因として、戦後にアメリカの農業政策に組み込まれパン等の粉食を余儀なくされ「国土のみならず胃袋までも占領された」ことが大きいと指摘された。
その後の経済高度成長期にあっては、工業製品輸出の見返りとして食料の輸入が必然であったこと、食の多様化に伴う農村の空洞化、米 
が政治物資化(米価格を上げることが政治家の票獲得に影響)するなど、「現在の豊かな食生活の陰で犠牲になったものも多い」と述べられ、更に‘天ぷらそば’における各素材の自給率を例に、政府には国民の食糧が自給できる国政を目指して欲しい、という考えも示された。また、今年度になって改正された「食料・農業・農村基本法」については、基となる「食料安全保障」という概念の歴史や、概要と問題点について、近年の世界情勢や食品流通上の国際ルールとのギャップの説明も加えながら話していただいた。
縄文遺跡を訪ね歩くことがご趣味とおっしゃる河﨑氏。日本人と米の関係、米の将来性について一番話したかったと、熱く語られた。「稲作は縄文時代から行われており赤米だった、その歴史は白い米を作る苦労の歴史でもある」「米は全ての必須アミノ酸とレジスタントスターチを多く含むスーパーフード」「米粉や米ゲルの開発により米利用が拡大中」そして「米粉パンは単にアレルギー代替食ではなくおいしいパン」と聴講参加の米粉パン職人の紹介があった。
農政の課題と希望を、専門的でありながらユーモアも交えた米への愛情深い河﨑氏の講演に参加して、米についてもっと知りたいと感じたのは私だけではないだろう。

広報 鈴木やよい


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