講師: 浅倉 むつ子氏 早稲田大学名誉教授 国際女性の地位協会共同代表
女性差別撤廃条約実現アクション共同代表
主催:目黒区教育委員会 主管:NPO法人目黒ユネスコ協会
日時:2024年12月1日(日)14:00~16:00 会場:中目黒GTプラザホール 参加 34名
爲季会長の挨拶と講師紹介後、講師浅倉むつ子氏(写真中央)は、人気のNHK朝ドラ「虎に翼」(付記参照)を素材に「日本の男女平等」について、法律家の視点から読み解きます、と自己紹介された。
明治時代から、戦後40年の1985年ジェンダー元年といわれた時代、そして現代まで、男女平等への道のりを、具体的な例を挙げて語られた。
「以下概要」
明治時代の法律=近代法では、身分差が無くなった代わりに性差が浮上した。
人妻には姦通罪が適用されたが夫は相手が人妻でなければお咎め無し。結婚年齢は男性は18歳、女性は16歳とし、妻は無能力者で、学問はいらない。妻は夫に尽くす人として家計を守り、たとえ夫からのDⅤ被害者であっても夫の望まない離婚は認められない。等々、怖いお話が続いた。
敗戦後1946年日本国憲法公布、法の下の平等、人は個人として尊重される、婚姻は両性の合意のみに基づいて成立、夫婦同等の権利、が認められた。しかし男女別の婚姻適齢、女性のみ再婚禁止期間(6カ月)有、夫婦同氏原則は残った。
また男女における賃金格差。同期同学歴入社の同僚より女性は昇給昇格が遅い。
しかし遺族厚生年金や、遺族補償年金については、反対に、被保険者が女性=夫を扶養している妻の死亡の場合、女性の遺族には年金が支給されない。これは遺族である男性に対する差別である。
現在は選択的夫婦別姓を求める声が大きい。社会的実績や信用の断絶。改姓する側は(98%は夫の姓を名乗る)、夫の家に入るような違和感。結婚・離婚の事実が周知され、プライバシーの公表が強制される。妻の姓を選択する夫婦への偏見、等々。
日本におけるジェンダーギャップ指数は(2024年6月現在146か国中)118位だ。
日本は8つの国際人権条約(人権差別撤廃条約、自由権規約、社会規約、女性差別撤廃条約、拷問禁止条約、児童の権利条約、強制失踪条約、障害者権利条約)を批准している先進国だ。
しかし女性差別撤廃条約の選択議定書の批准(=個人通報制度)がまだされていない。批准すれば、国連に個人通報が出来、権利を侵害された個人・集団が救済を申し立てることが出来る。差別があったと認められると、「調査制度」が作動し、国に対して「見解・勧告」を出す。締約国は6か月以内に回答書を提出しなければならない。そうなれば、日本の司法も変わり、男女平等を実現するための大きな推進力となるだろう。
もっと日本を人権が尊重される国にしたい!と結ばれた。
研修 齊藤 眞澄
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