主催:目黒区教育委員会   2026年7月11日・18日
講師;高田秀重氏(東京農工大学名誉教授)  緑が丘文化会館

海に流れ込んだプラスチック片やマイクロプラスチックが海洋生物の命を脅かしていることや、更に微小となったナノプラスチックを我々が魚類を食べることで摂取していることは既に知るところである。今回の講演では、それに加えてプラスチック生産時に添加される化学物質(プラスチックケミカルズ)のヒトへの具体的な悪影響、更には、いまだによく把握されていない添加物どうしの反応で生成される物質(非意図的生成物質)の危険性を学んだ。ナノプラスチックは血管内壁に炎症をおこすことで動脈硬化の原因のひとつとなり、体内を巡って心臓や脳にまで達するという。プラスチックケミカルズが与える影響は生殖系において特に深刻で、妊娠や胎児の健康を害すること等がデータで報告されている。
現在の私たちの暮らしは便利さや安価を求めた結果、プラスチック製品に囲まれている。街頭のゴミ箱からあふれ出たもの、不法投棄されたものや、資源というの名の下で輸出されても処理のキャパシティーを越えたものなどは、風や雨によって川へ海へと移動し海岸に漂着、または海流に浮遊して汚染を地球規模に広げていく。
この現状に対する対策は国際的なものでなければならず、企業・国の政策・国際協力などを要する。国際プラスチック条約が国連で協議されてはいるものの、今だ諸国の合意を得られていないのが実状だ。持続可能な社会を実現するための取り組みとして3Rが推進されているが、高田氏はリサイクル・リユースの問題点を指摘のうえで、リデュース(生産の削減)こそが重要であると力説なさった。
生活者として私たちが出来ることについて考えてみた。プラスチック製食品保存容器に食品を入れたまま電子レンジにかけると多量のプラスチックケミカルズが溶出すること、メラニンスポンジなどのスポンジ類や人工芝・三角コーンも汚染の原因になっていること、ペットボトル飲料さえすでに汚染されていることなどを学習すると、なすべき暮らしの有りようがおのずと見えてくる。
高田氏は学術的研究のみならず、未来を担う子どもたちの環境や健康への意識を高めるために多数の児童書も出版しておられる。私たち大人は子どもたちの体を汚染しないためにもプラスチック問題の解決に向けて努力し自らの生活を見直す責任があると認識した。

広報 鈴木やよい


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